「ビラ配布の自由と日本国憲法」・渡辺治先生(一橋大学大学院教授)の講演を聴く。
2008年7月9日(水)・午後6時30分・日本教育会館 一橋ホール・聴衆950人(熱気がある)
・演 題
「ビラ配布の自由と日本国憲法」-なぜ今、こんな事件があいつぐのか?-
渡辺治先生(一橋大学大学院教授)のお話は1時間に及んだ。
(皆な、ボクも、静かに聴いていて、ウンウンうなっている。時々拍手が起きる。内容が深くて、緻密で、運動をしている人達にとっては身近な問題だから、気持ちが一つになっている。お話が終わった後の拍手の嵐、凄かった。カーテンコールだ!)
・先生のレジュメ
1、私達の言論にどんな事態が?
(弾圧事件とそれに係わる事項19件が記載されている。その中の主なもの。)
2001・09・11 テロ事件、テロ対策特措法
2003・05・03 大石事件(大石共産党市議・後援会ニュース配布を公選法違反で逮捕)
2004・02・27 立川自衛隊官舎ビラ配布弾圧事件
2004・03・03 国公法弾圧・堀越事件
2004・06・15 「9条の会」結成
2004・12・23 葛飾ビラ配布弾圧事件
2005・09・10 世田谷国公法弾圧事件
2007・07・29 参院選で安倍自民党大敗
2007・11 日教組教研集会会場使用拒否事件
2008・03・13 「靖国」上映妨害事件
2008・04・17 自衛隊イラク派兵違憲名古屋高裁判決
2008・05・18 国分寺市議ビラ配布弾圧事件
(一連の弾圧事件の共通する特徴、①対象が日本共産党など、改憲と構造改革に立ち向かう勢力のメンバーに限られている。②公安警察が組織的・計画的に事件化している。③ビラ配布をターゲットにしている。④国家公務員から一般市民へ、選挙運動から日常活動へと取締りを拡大している。)
2、なぜ今?- 一連の言論弾圧のねらいは何処にあるのか?
(1)二つの大きなねらいと困難
・保守支配層の、憲法改定と新自由主義的「構造改革」のねらい。
小泉政権で構造改革の「前進」、安倍政権「任期中の改憲公約」
・これに対する国民の反対ー矛盾の顕在化。
(2)「九条の会」の活動に対する危機感と改憲策動の建て直し。
(改憲反対が多数派に・世論調査)
(3)構造改革の強行が、社会統合を揺るがせている。
・企業リストラ ・公共事業投資削減 ・社会保障切捨て
・社会統合の劇的破綻―自殺の増加、ホームレス、家族の解体、虐待、犯罪、地方の衰退、財政破綻
・構造改革反対運動の高揚―後期高齢者医療制度に対する怒りの爆発・反貧困ネットや労働組合運動の高揚
・福田政権での新たな、二つの対処策―・構造改革の手直し(消費税とセット)・大衆運動の押さえ込み
・改憲反対、構造改革反対の要としての共産党 ー これをターゲットにしている。
(4)警察、検察の危機感と再活性化
3、なぜ、ビラ配布が目の敵になるのか?
(1)(保守支配層にとって)怖いのは労働運動や市民の組織による運動
・戦前なら治安維持法 ・破防法もうまく行かない ・共謀罪も制定がおぼつかない
(2)なぜ国公法?なぜ住居侵入?
(3)ビラ配布の規制の次は?
(では何故、ビラをねらうのか?市民の運動、組合や政党の活動にとって、ビラの配布が最も基本的な手立てとなっているからだ。何故、共産党をねらうのか?彼らの「二大課題に対する反対運動」の結節点になっているからだ。
本当は、彼らは、戦前の治安維持法のような気に食わない団体を一網打尽にできる法律をつくりたい。しかし、1952年につくった破防法は批判を受け、ほとんど適用できないでいる。だから弾圧のためには、住居侵入や国家公務員法違反を使わざるを得ないのだ。・・・国公法で、公務員の運動を萎縮させる。・・・住居侵入で市民の動きを止める。これを許しておけば、必ず、「九条の会」など市民の組織に対する攻撃がおきてくる。ここで食い止めるために、弾圧事件での裁判では、どうしても無罪を勝ち取る必要がある。―拍手―)
4、いかに立ち向かうか?-憲法改悪に反対する事と憲法をじつげんすることー
(1)私達は一方的に押されているわけでは無い
・9条を守ってきた力
・強力な治安立法を作らせない、発動させない、共謀罪の制定も許さない活動。
・基地の監視運動や米軍、自衛隊の策動に対する運動
(反面)
国家公務員の政治活動規制、公選法の煩雑な活動規制などを許してきた。-この弱点に付け込んでいる。
(2)憲法が生き生きと実現する日本を
・改憲阻止から憲法実現へ
(憲法は未完成―9条も25条も)
・憲法の実現の土台となる言論の自由
(民主主義の不可欠の土台となる21条)
・憲法の二重の国際性と私達の任務ー国際社会の平和と人権
*憲法の理念は国際的にしか実現出来ない
*憲法の理念は国際社会に伝播し、国際社会で普及する
・国際人権の水準に到達させるー国際人権規約の活用を。
―改憲、構造改革を阻む可能性が現れた時代ー権力の弾圧にひるまず、自由で明るい社会をつくるため頑張ろう―
(割れるような拍手)
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