講演・「年越し派遣村の意義と教訓、雇用問題の打開を」(井上 久さん・全労連事務局次長)を聞く。
2009年3月5日(木)・サンパール荒川・満席
(荒川区革新懇・総会)
*記念講演
講 師 井上 久 さん (全労連事務局次長)
演 題
「年越し派遣村の意義と教訓、雇用問題の打開を」
―大企業中心から内需主導・国民本位の政治・経済への転換ー
(レジュメとメモ)
*はじめに
米国発の不況の深刻化ー外需頼みの日本経済を直撃(しています。)
冷酷・非道な派遣・期間工切りから、雇用破壊の全面的な深刻化(をまねいています。)
中小企業・業者も(困難に直面しています)・・・。地域経済の疲弊を招いています。
国民的な運動によって(この困難を打開する事が求められています。)
1、年越し派遣村はどうして生まれたのか。
・派遣きり、期間工切りに合った労働者が各地で組合に相談にきました。そして、その人たちが組合を結成して行きました。
派遣法の抜本改正を求める12・4野音集会を大きく成功させました。
派遣きり、期間工切りに合った人たちは、住む家が無いという人たちが多くいました。
「目の前の一人を救わなくていいのか」という発言が弁護士さんから行なわれました。
(正直言って、やっかいだなー、という気持ちもありました。)
役所も閉まる、年末年始9日間。その方々を寒風に放り出すわけには行きません。
派遣法抜本改正を求める共同行動の有志、労組メンバー、弁護士で(年越し派遣村)実行を決意しました。
これは、新聞、テレビでも報道されました。
2、日比谷公園にテントを張り、派遣切りの赤裸々な実態を訴える。
・仕事を失えば直ぐ寮を放り出されるという実態を赤裸々に示すものになった。社会問題化した。
政府・厚生労働省の目の前にテントを張り、改善を訴えた。
「派遣法抜本改正を求める共同行動」の有志で実行委員会を立ち上げ、慌ただしく準備作業に入り、記者会見は12月29日午後に行なった。直後から、電話が鳴りっぱなしになった。
・私も全労連の一員として参加した。連合からも、全国ユニオンへ100万円のカンパがあり、相談員が派遣された。
労働組合の共同が進んだ。
3、年越し派遣村の具体的な経過
・12・31開村式(村民希望者・70人 ボランティア300名、マスコミ100名)。
・入村者が相次ぎ、最終499人になった。交番で聞いたと言って電話をかけてくる人、村民になった人が一番多かった。
全国から支援物資が届いた。ボランティアが溢れるほど集まった。
・炊き出しと簡易宿泊(テント)設置を行なった。相談活動(生活、労働、就職、慰労など)を行なった。
ボランティアは、良く働いた。(表現上問題があるかもしれないが)まるで、軍隊のように、黙々と働いた。
・その場で、生活保護申請を作制したり、面接のための履歴書なども準備した。
・厚生労働省と交渉した。当初、「警備上の理由」で開放を渋っていたが、1月2日夜、講堂を開放した。
1月5日 国会請願デモを行なった。
1月5日から12日まで、厚生労働省と東京都が体育館など4箇所で派遣村の人達を受け入れてくれることになった。
・宿泊・食事とともに、相談窓口(ハローワーク、生活相談、不動産相談)を設置した。
生活保護では、2日間で申請した人全員の保護が認められた。
・1月12日ー 再度実行委員会で派遣村の人達を、旅館に集団宿泊(2/4まで)してもらう事とした。
援助活動を継続し、生活保護等に取り組み、法律家市民団体と共に、相談体制を充実させた。
・1月15日 緊急シンポ「やっぱり必要 抜本改正 年越し派遣村からの大逆襲」を開催した。
(印象に残っていることが多くある)
・医療体制が重要だということだ。
派遣村へたどり着いたという人には、極端な栄養不足と云う人が多かった。疲労で倒れる人が相次いだ。相談をしている最中に意識が薄れる人が相次いだ。
つくづく、酷い状態に置かれていたのだと、実感した。
・心と体のケアが必要だ。心の問題は特に大切だ。心をやられている人が多くいた。
・派遣村の村長を勤められた湯浅誠さんは、その後も「もやい」で活動されている。現在も1日の相談で100件を超える時もあると聞いた。
4、年越し派遣村の教訓と課題
(1) 教 訓
・派遣切りの切実な実態を赤裸々に突きつけたことが世論を作り、政治を動かした。
・ナショナルセンターの枠を超えると共に、国民的な共同・ネットワークを作り出した。
法律家や野宿者支援等の市民団体との共同、広範なボランティアとの協力がすすんだ。
・生活保護を制度本来の活用方法で運用させ、生活再建のルーツとして広く認知させた。
・(まだ不十分だが)総合相談窓口の端緒をつくり、その重要性を明らかにした。
・社協の緊急小口貸付資金の特例的活用などで、公的資金援助の必要性を示した。
・(首を)切られて急迫状態になる前の運動が決定的。派遣切りをさせない国民運動が必要だ。
・派遣法抜本改正の必要性を明らかにし、改正論議のステージを引き上げた。
(2) 課 題
・年越し派遣村は、パイロットケースであり、全国で地域に根ざした総合相談の体制、そのためのネットワーク作りが喫緊の課題だ。
・年越し派遣村が広げた生活保護などの運用を特例に終わらせず、全国共通の基準として定着させること。
(今回、302名の生活保護受給が決まっている。)
・派遣切りを許さない闘いを徹底して強化し、ストップをかけるとともに、行政にシェルターの設置と総合相談窓口を設置させる運動を展開する。
・この流れを加速し、派遣法の抜本改正や雇用保険制度の改善などの運動に連動させていく。
・労働相談を通した労働組合結成への流れを加速する。
(派遣切りに係わる相談から、全労連関係だけでこの間60を超える組合が結成されている)
5、派遣切り等の相談には運動上の観点も加えた柔軟・挑戦的対応を
・まず、生活実態を聞き、その再建への援助体制を確立する。
緊急避難の宿泊体策、生活保護などの活用、緊急小口資金や自治体の援助資金の確認をする。
生活と健康を守る会や市民団体、地方議員などとの協力体制の確立が必要。
医療上の問題をかかえる人も多いので、民医連などとも協力する。
・まだ、寮などにいる場合には、そこでの生活の継続を基本に交渉する。
・期間途中の契約解除は違法、明白な法違反。
・期間・契約社員や派遣等を繰り返していた場合にも解雇できない。
・期間満了の場合も、実質的な常用代替の場合には挑戦的な対応を。
・労働組合加入を勧める。組合員になる事が解決の近道になる。
・福祉事務所やハローワークなど行政の活用も積極的に行なう。
・雇用保険を受けられる場合や不払い賃金がある場合もある。良く聞くことが大切。
6、雇用と生活を守る国民的運動を地域から巻き起こそう。
・貧困・生活危機突破の大運動を。
今こそ求められる国民的な総反撃ーカジノ資本主義の失敗のツケを労働者・国民に添加させない。
新自由主義の全面的な破たんー大企業の社会的責任追及と内需拡大の政治への転換を。
解散・総選挙ー労働者、中小企業に犠牲を強いる政治を転換する。
①派遣切り、首切り・リストラ許さない取り組みのいっそうの強化
宣伝の強化、大企業との闘い
労働組合に組織し、交渉・申告ー共同をひろげ、何でも相談体制を全国に確立する。
②派遣切りにあった労働者への支援・救済体制の確立
支援のネットワーク作りー全県・主要都市での一時避難所(シエルター)の設置と総合窓口の開設。
生活保護の活用と、雇用保険の改善はじめセーフティネットづくりを。
③派遣法の抜本改正など、雇用破壊の大本を絶つ
派遣法の抜本改正は喫緊の課題ー雇用は期間の定めの無い正規雇用を原則に、有期契約そのものを限定していく。
④地域から日本経済の再生、雇用創出の運動を
カジノ経済の民主的な規制の強化
内需中心の日本経済への転換
地域から雇用創出の大運動を
⑤労働組合は国民との共同を広げ、雇用と賃上げの攻勢的な運動を
異常な長時間労働を規制し、時短、賃上げこそ、雇用創出、内需拡大の最大の道、
労働組合の役割が問われる09春闘で、国民的な運動の先頭に!
(拍手)
(会場からの発言・質問など)
男性:
講師の先生には、大変ご苦労様でした。私はカンパを少ししただけで、何も出来ないで、申し訳なく思っていました。今のままなら、派遣村は今年も、来年も、何回もやらなければならなくなるのではないでしょうか。
派遣業は、昔は「人貸し業」と言われていたと思います。やめるべきだと思います。
男性:
テレビを見て泣いていました。私達は何をできるのだろうか?と考えました。私はまだ働いています。労働組合の作り方などを教えてもらいたいと思いました。
男性:
派遣村は、正月休みでコタツに入りながらテレビで見ていました。申し訳なく思います。
テレビでは、菅さんとか、マスゾエさん、大村さんとか派遣村で写っていました。
政党との関係はどうなのでしょうか。
ワークシエアリングが盛んに言われています。大企業は採用するのでしょうか。やっていけるのでしょうか。
男性:
大企業の内部留保のことが取りあげらるようになりました。
経団連などは、そのことにどのように対応しようとしているのでしょうか。
*井上 久 先生(全労連事務局次長) の2回目の発言
(メモ)
・どういう方々が派遣村へこられたかを観てみますと
①期間工、派遣切りで仕事を失った人です。工場で上司に呼ばれて首を切られたと云う人もいました。そして、すぐ寮もおい出されたという人です。ピンはねも行なわれていました。
②登録型の労働者の方々です。建設、日雇いの方々です。持ち金がなくなり路上生活を余儀なくされていたと云う方々です。
③雇用保険切れの方々です。中高年の方々が主です。自分の病気、家族の病気が重なり、借金をした。一度つまずき、ころげると落ち続けてしまう、と云う方々です。自分の責任ではないのです。
④しばらく前からのホームレスと云う方々も来ました。その人たちは言っていました。今の派遣切りは「自分の10年前とおなじである」と。
*「派遣業」「人貸し業」、呼び方は色々ありますが、はっきりしている事は、大企業が労働者を良いようにこき使って、良いように切り捨てる制度だ、ということです。この制度は、大企業の要求で時の政府がつくったものです。
*労組と政党の関係ですが、従来にもまして共同が進んだと思います。
菅さんもテレビに写りましたが、共産党の小池晃さん(参議院議員)は、お医者さんということもあり、医療ボランティアで参加されました。新しい労働組合も60以上結成されました。
*非正規の労働者問題は、労働組合でも大きく取り上げるようになって来ました。
ワークシェアリングの問題は、率直に言って難しい内容を含んでいます。日本型のやり方で、うまくいかないのではないか、と思います。
*経団連へは、抗議行動などで何回か行っています。内部留保問題では、何も言わなくなっています。
全体、我々(労働組合)とは、やりとりが無くなっています。しかし、行動に効果がないと云う事ではありません。
中曽根康弘元総理大臣ですら、「企業経営者はけしからん!」と言っています。
署名な経済学者は、現在を「ガン化した資本主義、CANCER資本主義」とよんでいます。
*地場産業を育てる事、農業の重視し、内需拡大を図る、雇用創出を。
国民経済の再生が必要です。


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